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好きなところで暮らす幸せ 〜205回〜

香月泰男美術館 シベリヤ・オブジェ
香月泰男美術館 シベリヤ・オブジェ

今週はずっと東京にいました。久々の出張だったのにも関わらず、急激に気温が下がりめちゃ寒かった。特に水曜日は都内の最高気温が12度にまで下がり、雨のなか風邪ひきそうでした。

 

先週、長門市の「香月泰男美術館」に行ったせいか、香月が戦後捕虜としてシベリアに抑留された経験を描いた『シベリアシリーズ』の極寒の描写を思い起こしました。東京の空は鉛色ですしね泣。

 

都内に着いた10月21日に日本初の女性総理である高市内閣が発足。翌22日の朝、ホテルのせまい部屋で歯を磨いているとテレビから北朝鮮のミサイル発射報道が流れてきました。またかよ怒。

 

高市首相は発足直後に北朝鮮による拉致被害者家族と面会し、拉致問題を「最重要課題」として位置づけています。拉致問題を巡っては、被害者のうち5人が2002年に帰国してからすでに23年が経っている。

 

2002年9月17日に小泉純一郎首相が初訪朝し、北朝鮮の金正日総書記が初めて日本人を拉致した事実を認め、公式に謝罪。同時に、北朝鮮側は日本に対して次の説明を行いました。

 

「拉致被害者は13名。そのうち8名は死亡、5名は生存中。生存中の5名は日本への一時帰国を許可する」そして10月15日に、5名(蓮池夫妻、地村夫妻、曽我ひとみさん)が日本へ帰国したわけです。

 

日本政府は5人を「一時帰国」扱いとして北朝鮮へ戻す前提で受け入れたが、世論もあり日本に永住させる決定を行いました。当然北朝鮮は強く反発し「約束違反であり、拉致問題はすでに謝罪・処理済み」との主張を開始します。

 

それ以降、拉致問題の解決はまったく進行せず、歴代の首相も何の成果もあげられていません。(2004年5月22日に小泉首相が再訪し、上記の家族である8名が第2次帰国者となっている。)

 

香月はこんな言葉を残しています。

――シベリアは冬だけのものではない。暑い時、あの夏草しげる中を歩かされた時のことを思いだしてゐる。ああ、また秋が来て冬が来るのか、今年も帰れぬのかと、あのわびしい初秋の陽光を思い出してゐる。――『春・夏・秋・冬』62頁

 

現在、未帰国の拉致被害者について、日本政府が認定する方だけでも17名もいます。北朝鮮はその方々の死亡を主張し、日本政府は根拠不明と否定している。拉致された方は今、どんな気持ちで秋の陽光を見ているのか…

 

拉致被害者家族の多くが高齢化し、生きているうちに再会をという訴えが続いています。被害者家族の象徴的存在である横田早紀江さんもすでに89歳。めぐみさんを想う母の愛も永遠には続かないでしょう。

 

「あらゆる手段を通じて、全ての被害者の一括帰国に向けて心血を注ぐ」と断言した高市総理に期待したいものです。「働いて、働いて、働いて、働いて、働く」と啖呵を切ったわけですからね笑。

 

最後に、家族を愛し続けた香月泰男の言葉を伝えて筆を置きましょう。

――わたしは国より、家族のはうが大切であると思う――『春・夏・秋・冬』66頁