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TVドラマと富良野

仕事がら若い頃は、TVドラマに割と詳しかったのですが、最近は全然ダメです。余程の話題作でないと見なくなってしまった。若手俳優の名前さえ、なかなか出てこない。出てこない以前に、見分けがつかないレベルです。

 

2008年の秋に、フジテレビ開局50周年を記念して制作された『風のガーデン』は、とても素敵な作品でした。オンエアの時、私は松山支社に転勤したばかり。放送翌年の夏休みに松山から富良野まで、TVドラマの撮影現場を訪問して回りました。今でいう「巡礼」ですねw

 

中井貴一が演じる主人公の白鳥貞美は、明るく女性にモテる有能な麻酔科医。東京で派手な生活を送るも、自分が膵臓がん末期であることが判明。富良野の家族の元に帰り、息子(神木隆之介)や娘(黒木メイサ)、勘当された父(緒形拳)との最後のやり取りを描いた倉本聰脚本の名作です。

 

何をもって名作と言うのかは難しいのですが、緒形拳さんの遺作でもあるこの作品の制作現場のインタビューで、緒形さんをして「一世一代の名演技」と言わせしめた中井さんの演技がスゴイ。まずは、これにつきます。

 

もう一つ。緒形さんが、撮影現場で自らが末期がんであることを誰にも語らずに、末期がんの息子を見守る役をずっと続けていたというドラマと現実がシンクロする空気とでも言うのでしょうか。それは神聖と言ってもいい空気です。もちろん撮影中は誰も知らないことなのですけど…。

 

富良野プリンスホテルの敷地内にロケ地として造られた「ブリティッシュガーデン」があります。素晴らしい庭園です。(今もあるのかなぁ?)ここに行くと、「天使ガブリエル」に必ず会えます。何のことか分からない人は、是非このドラマを見てください。

 

三浦春馬さんは、神聖な雰囲気を持つ俳優でした。あれだけの才能ある美しい若者が、自ら命を絶つなんて…。彼個人のことは分からないし、私の語るべきことではありません。ただ間違いなく、これからもっと素晴らしい作品を私たちに見せてくれただろうと思うと、ただただ勿体ない。ご冥福をお祈りします。