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ススキと縄張り

「中秋の名月」は、旧暦815日の夜に出る月を指します。だから「十五夜」と言うんですね。今年の「中秋の名月」は101日でした。

 

ですが、この日の月は、「満月」ではないって知ってました? 今年は翌日の102日が満月の日。だから昨夜のお月さまは、本当に真ん丸だった。眩しいくらいに輝いていました。

 

十五夜といえば、お団子と「ススキ」がセットですよね。風情があります。長閑に見えるススキにも、天敵がいるのをご存知ですか?

 

ライバルの名は「セイタカアワダチソウ(背高泡立草)」。名前の通り、黄色くて背の高い猛々しい奴です。この凶暴な外来種と、ススキは日夜戦っているのです。

 

セイタカアワダチソウは、「アレロパシー」という特殊能力を持っていて、根からある化学物質を放出し、他の植物の成長を抑制します。本当に悪い奴なんです。

 

ススキの群生に、セイタカアワダチソウが入り込むと、ススキは次第にその勢力を弱められ、陣地を奪われていきます。泣。

 

昨年はコロナのことも無かったので、出張で北陸や四国に行くとき、列車の車窓からススキとセイタカアワダチソウの陣地争いを見るのも、私の楽しみの一つでした。

 

それぞれの土地によって、両者の群生の勢力図が違うんです。ただ、この戦いの面白いところは、セイタカアワダチソウがススキを完全に征服することはないということです。

 

セイタカアワダチソウの放出する物質の濃度が高まり過ぎると、今度は自分自身の「発芽」を阻害し始める。仲間の数が増えすぎると、自殺行為に走り出すんです。

 

ススキの群落にセイタカアワダチソウが入り込み、数年をかけて優勢となる。しかし、さらに数年すれば、自身のアレロパシーの作用でセイタカアワダチソウが自らを駆逐して減っていく。この繰り返しです。

 

人類も人口が増えすぎたとき、戦争や疫病のようなものが起こり、減ってきました。まるで何者かにコントロールされてきたように見えませんか。もしかしたら、人間自身の持つアレロパシーかもしれませんよ。

セイタカアワダチソウ
セイタカアワダチソウ