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亥の子祭りと男子高校生

亥の子祭り 坂町役場ホームページより
亥の子祭り 坂町役場ホームページより

亥の子(いのこ)とは、旧暦10月(亥の月)最初の亥の日のこと。西日本では、その日の前後の週末に「亥の子祭り」が行われる。今年は114日が、その亥の日にあたる。

 

地方により、それぞれ異なるのだが、だいたいは亥の子餅を作って食べ、無病息災と子孫繁栄を祈って、祭りが開催される。

 

起源は古代中国の宮廷儀式に由来すると言われ、亥の月亥の日亥の刻に穀物の入った餅を食べると、病気にならないと信じられていた。

 

祭りの日には、子供たちが居住地区の家の周りを、縄にくくられた石で地面をついて(叩いて)練り歩く妙な風習がある。

 

広島で育った僕ら世代の男子は、幼いころ必ず、亥の子祭りに参加しているはずだ。令和の今でも続いている伝統的な行事である。

 

♪亥の子 亥の子 亥の子餅ついて

 繁盛せえ 繁盛せえ

 

歌いながら、アスファルトの道路を石で叩いて回る。公道の破壊行為ではないのかとも思うが、何故か咎めるものはいない。

 

高校生の頃、ある日突然「人間亥の子」なるものが始まった。1名の男子高校生を石に見たてて、他の4名が手足を縄のごとく持って上下に大きく揺さぶる。先の歌をみんなで合唱するのである。

 

最初は背中を地面に向けていたが、教室の床で腰を打って痛める者がいたため、腹を地面に向ける形が採用された。この方が形としては笑いを誘いやすいため、さらに流行った。

 

休憩時間になると、「人間亥の子」にされるのを嫌がり、男子は互いを牽制する。女子はその状況をニヤニヤと観察する。それでも事前に作戦会議が開かれており、石にされる者は必ずいた。

 

ひとつ言っておくと、今でいう「いじめ」ではない。陰湿な感じは全くないのである。胴上げ感覚で、石にされるのを内心喜ぶものさえいた。お調子者である。

 

やられてみると、結構快感だったりする。といって、読者の皆さんに勧めているわけではない。まぁ、久々にやってもらいたい気持ちも若干はある。ジェットコースターに乗る気分に近い。

 

結局、あの頃から何も成長していないということだ。日々修行と思い精進したいものである。