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パラリンピックと笑顔

アリア・イッサ選手(NHK総合より)
アリア・イッサ選手(NHK総合より)

2月末にサイクリング中に落車し、鎖骨骨折の手術をしてから丸半年が経ちました。歳のせいなのでしょうか、なかなか骨も再生されず、左肩周辺の痛みが続いています。

 

左手の可動域を広げるため、今日も午前中リハビリだったのですが、午後からは肩が疼いて気持ちも落ち込んでしまいます。

 

そんな毎日のなか、パラリンピックの放送を楽しみにしています。パラアスリートの活躍を見ると、少々の痛みですぐ不機嫌になっている自分を恥じてしまう。

 

競泳100メートル自由形の鈴木孝幸選手、陸上400メートルの佐藤友祈選手、ともに金メダル獲得。本当に素晴らしい。不自由な体で懸命に努力を積み重ねた結果の世界一です。

 

パラリンピックの開会式で、難民選手団の旗手を務めた女性がいます。シリア出身のアリア・イッサ選手20歳。女子こん棒投げF32クラス(脳性まひなど)に出場しました。

 

昨夜決勝戦が放送され、たまたまテレビ中継を見ていたのです。残念ながら8位でしたが、投てきに失敗したときの彼女の笑顔に釘付けになりました。

 

神谷美恵子の『人間をみつめて』に「連ちゃん」という聾唖で知的障害のある青年のことが書かれています。いつも明るく微笑みをたたえ、挨拶の手を懸命に振る病棟のムードメーカー。

 

神谷は次のように書いています。――彼の存在そのものが、みんなの心に大きな寄与をしているのである。(中略)どんなに有能でも、けわしい心と顔つきをした人の存在は、自他ともに生命を委縮させてしまう――

 

NHKによると、イッサ選手は4歳のときに天然痘による高熱で身体的・精神的な障害を負ったようです。言葉を発するのが難しかったため、学校でいじめにあっていたとも。

 

昨夜イッサ選手の素晴らしい笑顔を見て、神谷の言葉を思い出したばかりでした。それなのにリハビリ後の痛みに不機嫌になり、さっき妻にけわしい顔つきで接した自分はいったい何なんでしょう。とほほ。

 

パラリンピックは、世界に明るさと勇気を与えることのできるすばらしい大会だと感じます。今夜も姿勢を正してパラアスリートたちを応援したいと思います。正座はしないけど。笑