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「遺伝子検査」を受けたいですか?

女優のアンジェリーナ・ジョリーが「遺伝子検査」を受けて、自分の乳がんのリスク回避のため、健康体で乳腺除去手術を行ったことは世界にショックを与えました。

 

皆さんは遺伝子検査をしたいと思いますか? 今は様々な企業がこの分野に参入し、インターネットで申し込めば数千円から数万円で誰でも簡単に検査を受けることができます。

 

遺伝子検査キットの種類はいろいろあって、金額によって解析できる項目が変わります。安いものは、例えば肌タイプや脂肪・筋肉の付きやすさに特化して美容的体質を診断できる。

 

高いものでは、自分の遺伝的ルーツから、ガンや生活習慣病などあらゆる病気のリスク、そして性格や能力の傾向まで総合的に診断するものまであります。

 

これらの診断結果をどこまで信じていいものでしょうか。検査を実施している企業の診断方法のエビデンスは明らかではありませんし、この分野の法的な整備(ガイドライン)も整っていません。

 

ガンの発症可能性がとても高かったり、難病のリスクを抱えていると診断されたりしたらとても不安になりますよね。僕の場合は、性格が最悪という結果は間違いないでしょうし。汗

 

子供が病気になる遺伝子を自分が持っていると分かれば、結婚や出産に消極的になることもあるかもしれません。そんな受検者のケアをする体制も十分に整っていないのが現状です。

 

生き物の遺伝子組換についてももちろんですが、現状ほったらかしになっているこの遺伝子検査ビジネスの分野でも、法的な規制が早急に必要な気がしています。漏洩時の個人情報の問題もかなり大きいと思います。

 

丸谷才一の芥川賞作品である『年の残り』にこんな表現があったのを思い出しました。――自分の意志じゃなく生まれて来たんだから、自分の意志じゃなくて死んでいくのが正しいと思う――

 

自殺に関する悩める若者と主人公である老医師との会話のなかの一言です。当たり前のことのようだけど、人が積極的に生きていく指針について、ひとつの明確な答えのように感じます。

 

「遺伝子検査」を受けるということについて、皆さんはどう考えますか?