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見田宗介という天才と戦争について

連休に長閑な太田川土手を散歩
連休に長閑な太田川土手を散歩

4月1日に国内を代表する社会学者の見田宗介さんが亡くなられました。享年84歳とのこと。4月15日の中国新聞に、見田ゼミ生だった上田紀行(文化人類学者)さんが寄稿していました。

 

――「こんなに頭のいい人がいるのか!」とまずは驚かされ、(中略)あなたがいなければ今の自分はなかった…どれだけ多くの人々が今そう感じていることだろう――

 

私も若い頃、初めて見田さんの著書『気流の鳴る音-交響するコミューン』(真木悠介名)を読んだとき、「世の中にはホントに天才っているんだ!」と驚いたものです。

 

見田ゼミは常に満席状態だったといいます。上田さんもそうですが、吉見俊哉や大澤真幸、宮台真司も元ゼミ生。弟子たちの活躍を見ても上田さんの書かれた通り見田さんの強い影響力を感じます。

 

上田さんが見田ゼミの特徴を3つにまとめています。①「ポジティブ」―未来を創り出すことに肯定的であること、②「多様性」―すべての存在が幸せになること、③「現在を楽しむ」―現在が未来のための手段になるのではなく、今ここで満足しながら進むこと。

 

1970年代に、すでにSDGsの思想をもって授業を進めていたとは、まさに恐るべし!見田宗介なのです。この3つは人の生きる指針にもなりえますよね。僕も出来ることなら見田ゼミで授業を受けてみたかった。まぁ、まず東大に受からなきゃ駄目か。笑

 

ウクライナ戦争が始まってもう2ヶ月以上が経ちました。毎日コメンテーターが様々な意見を述べています。テレビの中の議論は、表層的で多様性に欠けるように感じるのは僕だけでしょうか。見田さんが生きていたら、この状況をどう表現したでしょう?

 

第2次世界大戦に参入した日本について、彼が書いた文章を紹介して今日のブログを終えたいと思います。今、日本人として深く考えなければいけないことを、見田さんは警告しているような気がします。憲法記念日の今日、広島は抜けるような青い空です。

 

――ナチスドイツのように強烈な個性を持った「指導者」が「主体的」に国民を方向づけていったというよりも、(中略)「みんなの意見」に逆らわないように、「時代の流れ」にのりおくれないように動いていく結果、ひしめいて海に落ちてゆくペンギンの集団のように、戦争に突入していったのでした――『社会学入門ー人間と社会の未来』