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サルから進化した者ども

ロシアがウクライナに侵攻してすでに4ヶ月以上が経ちました。毎日のニュース映像を見て、だんだん慣れてくるのが恐ろしい。自分のやりきれない気持ちがだんだん薄れていくのは怖いことですよね。

 

世界の警察といわれた米国も、今回は慎重です。世界的な危機に拡大するのを回避するためには仕方のないことなのかもしれません。米国だけに頼る視点も実は情けないことですし、何かやるせない…

 

その米国では、ダーウィンの進化論を信じる人は6割といわれています(NEWSWEEK、日経新聞等)。進化論を否定する根拠は、旧約聖書の中の「人間はアダムとイブの子孫である」という記述です。

 

アメリカ人の4割は創造論を信じていて、進化論を否定している。つまり米国の4割の国民は、今でも「神が人を創った」と思っている、あるいはそう信じたいと思われるのです。

 

これは国民のほとんどが進化論を信じている我々日本人にとっては、驚くべき数字ではないでしょうか。ある意味、先進諸国にあっては不可解な数字とも言えます。

 

実際アメリカでは1925年に公立高校教師が進化論を教えた罪で有罪判決を受けています。いわゆる「モンキー裁判」です。あの野蛮なサルから高尚な人間さまが進化するはずがないと言う訳です。

 

科学的教育が進んでいるアメリカでなぜ? アメリカ人の半分をプロテスタントが占めますが、プロテスタントは『聖書』を信じる宗派。『聖書』の記述は「真実」とされても仕方ないのかもしれません。

 

さてロシアではメディアが統制され、報道の自由がすべて奪われました。ロシア国内ではウクライナでの「真実」が伝えられることはない。「真実」を知るすべがないのですから。

 

ある評論家は、「真実」をロシア国民の多数が知ることになれば、あるいは西側の経済制裁の効果が表れ「真実」が露呈すれば、プーチン批判が高まりロシアの強硬姿勢が傾くと言います。

 

「真実」を知っても「神が人を創った」と信じる(信じたい)アメリカ人は4割もいます。彼らにとって進化論がそもそも「真実」ではないかもしれない。では、ウクライナ侵攻の「真実」とはいったい何なのでしょう?

 

これまでの戦争は全て、自分は正しいと信じる為政者が起こしたことです。「真実」はどのようにも解釈されうるという怖さを今一度、僕たちは真剣に捉えなければいけないと感じます。

 

ウクライナ国民が心安らぐ時が少しでも早く来ることを、ここ広島の地から強く祈ります。ただ僕たちは野蛮なサルから進化した動物なのだという「真実」を、これから行動の基軸にしなければ、何かを間違うような気がしてなりません。