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世界に取り残される恐怖と快感 〜121回〜

「FOMO」をご存じでしょうか? NTT docomoの第3世代移動通信方式「FOMA」のことではありません。古い! Fear Of Missing Out――取り残されることへの怖れのことです。

 

常に流行に乗っていないと遅れてしまう、仲間はずれにされてしまうというSNS社会における不安を表す表現です。取り残される怖れ、それは「ひとりぼっち」と言い換えてもいい。

 

長野県で「(ひとり)ぼっち」と馬鹿にされたと思い込み、人を殺害した事件が起こりましたよね。警察官を含む4人もの人が殺された痛ましい出来事です。

 

「ぼっち」は孤独を象徴的に示した言葉でしょう。孤独感に対する感覚も人それぞれ。自分一人の時間が大好きな人もいれば、寂しくて死にそうになるウサギのような人もいる。

 

ちなみに「FOMO」と対になる言葉が「JOMO」――Joy Of Missing Out、取り残される喜びのことです。他人の行動や発言を気にせず、好き勝手に過ごす快感を表現しています。

 

私はどちらかというと「JOMO」に喜びを感じるタイプの人間だと思います。とは言え、SNSでは結構頻繁につまらぬ発信をする。現実のリアルとSNSのデジタル空間とでは世界が異なります。

 

リア充と言いますが、SNSで発信するリアル世界が、現実の充実さを表現しているとは言い切れない。それは演出された仮想空間の可能性が高いからです。

 

自分を取り囲む仲間を金で集め、「映え」るためのグッズや空間を探し出して、デジタルの場で演じているだけのリア充かもしれません。「FOMO」に取り憑かれた愚行とも言える。

 

「Clubhouse」が流行ったとき、招待制アプリのために会員になりたい人が激増。招待枠募集のハッシュタグが連日トレンド入りしていました。Clubhouseは、今一体どうなっているのでしょうね? 笑

 

孤独への恐怖は、ある意味「承認欲求」につながります。人に認められたいというマズローの欲求階層説の4段目の欲求です。「FOMO」が4段目であれば、「JOMO」は5段目の最上級概念です。

 

最上位である「自己実現欲求」の領域では、きっと他人の目や評価など関係ない。自分の世界観に基づいて「あるべき自分」になりたいと願う欲求だけがあります。

 

「FOMO」の世界を創出したInstagramやFacebook等の巨大プラットフォームもWEB3.0によってビジネスモデルが崩壊し、「JOMO」空間で新たなプレイヤーが誕生するかもしれません。

 

WEB3.0については、また次回このブログでも触れてみたいと思います。(予告するのはこのブログで初めてのことかもしれません。予告しながら違うことを書くこともありますけど。笑)